デンタルアドクロニクル 2023
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 弊社(医療法人社団世航会)は2006年12月に開業し、現在17年目となりました。現在、東京で23医院、大阪で1医院の規模にまで発展しました。医院規模を拡大していくことで効率のよくなる部分を、最大限に活かした経営をしています。今回は「材料発注」「院内技工」「高額歯科製品」について私の経営術を説明します。 売上を上げるより、無駄を省くことが重要になります。そのため、材料・技工費の節約は欠かせません。「材料発注」は、購入品選定と大量購入によるディスカウントの交渉が、歯科経営者自身が行う業務です。数年経てば、材料の進化と後発品、そして廉価版が発売されてきます。年に1回は半日程度でも、発注権限のある社員や部署と材料会議を行うことをお勧めします。インプラントやボンディング材など、年間使用量を予測して、大量購入とディスカウント交渉は経営者自身で行ってください。ディーラーは交渉のプロですので、社員では結局足元を見られてしまいます。また、インプラントや矯正などはシステムを絞ることで、無駄な経費節約につながると考えます。 外注技工費は、売上の10%近くを占めており、これを節約するために「院内技工所」の設置と充実化を10年以上行っていました。以前はこれがベストな選択肢と思われていましたが、2020年以降は、CAD/CAM機器の高騰、光熱費の増大、歯科技工士の人件費増加、技工材料の値上げ、金銀パラジウム合金の管理など、歯科医院経営にとっては負担が増える一方でした。地方の大型技工所では、より精密なCAD/CAMで大量生産しており、人件費や管理、賃料などを比較しても、外注のほうが院内技工よりもコストかからずに、高品質な技工物の納品が可能になってきたと考えます。現在では8割以上を外注依頼しており、そこでも大量外注により技工費のディスカウント交渉が可能になっています。 口腔内スキャナー、CAD/CAM機器は保守料もかかり、約5年で次世代モデルが発売されて、結局使用不可能な状態になります。CTもそうですが、「高額歯科製品」のコストが回収可能かどうかを見きわめて購入を検討することも、医院経営で重要だと考えます。 これらの3点を改善するだけで、売上に対して3%の経費節約をすることも可能です。まずは「材料会議と技工外注見直し」をお勧めします。2022年夏、大阪・梅田で24医院目の開業。大阪府出身だけに非常に感慨深いものがありました。60咬合器コレクションは500点以上所蔵しており、2022年には日本顎咬合学会の咬合器アーカイブで講演を行いました。中島航輝JAID常務理事、東京都開業:医療法人社団世航会JAID会員が教える“私の経営術”材料・技工費の無駄を省き、3%の経費節約を

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