amakiyei TeTsppu6Dr. 巻頭特集1-1No Dentistry, No Wellness! 継承と革新から創造する歯科の未来(b) COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるパンデミックは、歯科界に大きな変化をもたらしました。ただし当初の衝撃から時間を経た現在では、より冷静に今後の歯科医療のあり方を考えることができます。 たとえば、パンデミックによってもたらされた急激なテクノロジーの進化により、オンライン診療などでのデジタル活用に注目が集まりました。しかし、歯科治療では対面で患者さんを治療する場合が圧倒的に多く、アナログ(対面)のほうが価値を発揮するため、無理にデジタル化(オンライン診療)をしてみても定着しづらいと、現在はとらえています。 その一方で、デジタル化の恩恵を受けた分野として、アライナー矯正歯科(a)図1a、b デンタル・モニタリング。患者さん自身で規格的な口腔内写真の撮影が可能(a)。歯科医院サイドでは、インターネット上で患者さんの遠隔治療の進捗状況を把握する(b)。治療が挙げられます。歯科医師が自宅にいながら、患者さんに矯正歯科治療を提供することも今では可能です。1か月に1度は必ず、チェアサイドで患者さんを診察する以前のスキームは大きく変わりました。 また、これは当院でも取り入れていますが、アライナー矯正歯科治療では、「デンタル・モニタリング」(DentalMonitoring、図1)というアプリケーションの活用が広がっています。スマートフォンに取り付けるデバイス(ScanBox pro)を処方することにより、患者さんが自宅で口腔内写真を規格的に撮影でき、そのデータを送信するだけで、たとえば矯正歯科専門医から適合の状態について自動的にメールが届きます。これらの画期的な仕組みによって、less contact、less frequentな治療が実現できるようになりました。PHIJ(Perio Health Institute Japan) 主宰、DSJ(Dental Square Japan) 主宰、 American Academy of Periodontology 会員、米国歯周病学ボード認定医(Diplomate、American Board of Periodontology)、EAO(ヨーロッパインプラント学会)認定 インプラント専門医、日本歯周病学会 会員、日本臨床歯周病学会 会員、日本口腔インプラント学会 会員、OJ (Osseointegration study club of Japan) 正会員築山鉄平(つきやま・てっぺい)福岡県・つきやま歯科医院専門医療クリニック天神院長 このようなデジタルを活用した今後の歯科医療の発想に、行動変容を患者さんに促すことへのAIの活用が挙げられます。たとえば, AIが,あたかも担当歯科衛生士かのように定期的に患者さんにメールすることで口腔ケアを促すサービスなどが開発されてきています。つまり、デジタルを活用することで、接触頻度を少なくすることが可能です。現在では世界中の人がスマートフォンを持っているので、将来的にAIがその方たちに行動変容につながるメッセージを送ることができれば、全世界での莫大な健康利益の向上が可能になります。 パンデミック以前は、アナログで行っていたことをデジタル上で行うことをデジタル化と呼んでいました。しかし、デジタルに置き換えることで、価値が2倍にも3倍にも伸びていくことが、本当の意味でのデジタル化ではパンデミック後におけるデジタル化の意義パンデミック後における国民の健康利益を考えた歯科医療の今後
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