され始めていると思います。全身疾患と関係するということで、まだまだ注目されると思いますが、歯科医院はもっと忙しくなるのではないですか?松下(純):おそらくはあまり大きく変わらないと思います。全身疾患と関係するとわかっても、アプローチとしては結局P.g.菌を減らすことなので。国もそれを理解したうえで、そこにアプローチをかけて医療費を減らそう、というところだと思います。松下(至):ただ、メディアがいろいろ取り上げてくれて、一般の方たちの関心が向くのはいいけれど、受け皿として今の日本がそれに応えているかというとちょっと難しいと思います。P.g.菌のことを知らない歯科医療従事者もいるので。 歯周病は患者さん参加型の治療なので、セルフケアをちゃんとしていないと何も変わっていきません。セルフケアをちゃんとしてもらおうと思ったら、患者さんへの指導をこちら側がしっかりしていかないと、自宅ではやってもらえません。――今後10年、20年して歯周病がもっとクローズアップされるとき、どれだけの人が対応できるのかというのをすごく危惧しています。松下(至):臨床家でありながら研究をちゃんとする先生に情報発信をしてもらうようにすると、ある程度整理されていくと思います。基礎的な研究やエビデンスが揃っていることも大事ですが、現場の先生たちの意見をよく発信してもらい、情報を整理していくことが大切じゃないかな、と思います。――歯周病は全身疾患に関連しているのは周知のことだと思います。とくにアルツハイマー病が今いちばんホットだと感じますが、歯科界でも話題に上がっていますか。松下(純):まだあまり上がっていない気もします。全身疾患に対して興味がない方もいると思います。恐らく口腔内しか診ていないのかもしれません。日常の臨床が忙しくてなかなか目を向けられないこともあると思いますが、患者さんの信頼に応えるためには、今から全身を考慮した歯科治療を行っていかないといけません。われわれ歯科医療従事者がどこまでやれるのかというのは、自分たちがまだあまりわかっていないと思います。 今の中高年の方たちのなかには、「認知症がすごく怖い、なりたくない」と感じている方も多いと思います。だとしたら、認知症の3分の2を占めるアルツハイマー型認知症の原因がP.g.菌と関係があるということは、モチベーションのキーワード、キーフレーズになるのではないでしょうか。――P.g.菌が分泌するタンパク分解酵素であるジンジパインがアルツハイマー型認知症の悪化に影響しているといいますが、本当なのでしょうか? 松下(至):そうなんです。口腔内が発端だからこそ、歯科医療従事者が主体になるべきです。P.g.菌は血流に乗って広がります。本来、脳は血流関門と言って、異物が入ってはいけないようにバリケードがあるはずですが、P.g.菌は狡猾にもそれをすり抜けていくのです1。――歯が健康な人は若々しく感じますが、やはり関係があるのでしょうか?松下(純):愛知県大府市は「8020」の数値がいいので、「9020」を実施しています。現在当院に90代の患者さんが8人通院しています。その方たちには多かれ少なかれみんなインプラントが入っていますが、皆さん元気ですし、もちろん認知症にもかかっていません。やはり歯や咀嚼などが大きく貢献しているんだなと思います。 ちなみに当院では最高で102歳まで通院していた患者さんがいます。これからもおそらく増えていくと思います。松下(至):100歳を超える人は、今日本で何人いると思いますか? 100歳の高齢者の表彰を国が始めたのが昭和38年、前の東京オリンピックの1年前で、そのときは150何人でした2。 それが平成元年になったら、あっという間に2万になりました2。その調査2. 厚生労働省.百歳高齢者表彰の対象者は47,107人.2023年9月15日.https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001145390.pdf (2023年12月26日アクセス)引用文献1. Zeng F, et al. Receptor for advanced glycation end products up-regulation in cerebral endothelial cells mediates cerebrovascular-related amyloid β accumulation after Porphyromonas gingivalis infection. J Neurochem. 2021 Aug;158(3):724-36. PMID 32441775【問合せ先】株式会社オルコア〒581-0003大阪府八尾市本町1丁目5番15号Tel:072-993-7877Fax:072-993-7876Mail:info@orcoa.jp【松下歯科医院様のインタビュー動画】――健康だったらいいですけどね。松下(至):要は、そこなんです。そういう意味では、予防は本当に大切ですね。と結果発表は2年に1回あって、直近は令和4年だったと思いますが、それが9万人を超えたんです2。100歳を超える人が、その前の2年前よりも1万人増えている。だから、おっしゃるようにこれからどんどん増えると思います。株式会社オルコアでは「オルコア口腔細菌検出キット TD-1000」及び「オルコア口腔細菌検出キット TF-1000」も発売しています。従来のP.g.菌に加え、新たにT.d.菌・T.f.菌を検出するキットを使用することで、歯周病原細菌のなかでもとくに悪さをすると言われているRed Complex 3菌種(P.g.菌・T.d.菌・T.f.菌)を各約45分で測定できるようになりました。お問い合わせは下記QRコードよりお願いします。121オルコア×松下至宏×松下純也
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