デンタルアドクロニクル 2024
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初診時などに患者さんに渡す資料(年齢などによって渡すものは異なる)。は、「今すぐには悪くならないこと」「今後の経過で気になる部位」についてお伝えします。そのため、メインテナンスに来院してもらい、「定期的に検査を受けるとよいこと」も添えます。 すなわち来院回数が多い患者さんです。何度も受診しているとどうしても飽きてしまう方や、面倒くさくなってしまう方もいます。そのため、当院でなくてもよいので、「すべてを治して健康な口腔を取り戻してほしいこと」「お口が健康であること」の重要性をとくに強調して伝えます。●治療が必要な患者さん⇒ う窩ができたり、進行した歯周病では、完全に元の状態に戻すことはできません。しかし新たな疾患の発症は防ぐことができます。そういったことを踏まえて「予防の大切さやそのノウハウなど」をお話し、また「患者さんと一緒に私たちもサポートしていく」ということをお伝えします。● 広範囲またはおおがかりな治療が必要な患者さん⇒●治療の予後が良好でない患者さん⇒ 妥協的な治療により健康な状態を取り戻せない方もしばしばいます。ただ、「継続的な来院によって悪化のスピードを遅らせること」はできますので、これらを正直に伝えます。「予防をすれば必ず歯をもたせられる」ということは決して伝えません。 予約していた時間になっても患者さんが現れないことがあります。「予約を忘れていた」「急に用事が入った」「体調不良、入院、事故」「他院へ転院した」など患者さんそれぞれの理由があるでしょう。いらっしゃらないとき、当院では電話で連絡を取るようにしています。予約を忘れていたり時間を勘違いしていた方は、予約を取り直し、ドロップアウトしないよう心掛けています。ただ、患者さんが来院しない理由はさまざまですので、電話は1回のみとしています。 また、当院では「Come噛む通信」という院内新聞を年2回発行していて、初診時に許可いただけた方に郵送しています。自身の健康を見直すなど、何かのきっかけになればという思いで作り始めました。これを見て再び来院してくださる患者さんも実際にいます。 上記の取り組みは、院長一人でできるものではなく、スタッフとともに取り組むものです。まずは全員が患者さんのお口の健康を継続してサポートしていくという認識を持つことが重要になります。そのうえで各患者さんにオーダーメイドな対応をしていきます。マニュアルに沿った決められた仕事をこなすのではなく、個々にあった情報を選択して発信していきます。そのため患者さんの口腔のことはもちろん、全身状態や生活背景などの理解も必要になります。 どんな人に何をどのように説明するのか、どんな資料を患者さんに渡すのかなど、適切な情報を得るための情報収集や勉強も欠かせないでしょう。当院の歯科衛生士は、月刊『歯科衛生士』を毎月1人1冊購読しています。受付や歯科助手も月刊『nico』をよく読み、患者さんに有益な情報を渡せるよう努めています。 こうしたさまざまな情報発信は、患者さんに口腔の健康やメインテナンスなどの重要性を理解してもらうのと同時に、スタッフ全員のレベルアップにもなっています。そして日々患者さんに真摯に向き合うことで、患者さんからの信頼や満足度アップにつながっていくのではないでしょうか。当院は、一人でも多くの患者さんに、長く継続して来てもらえる医院であり続けたいと考えます。17ポストコロナ時代に向けて、これからの口腔健康管理  巻頭特集1Come噛む通信(年2回送付する院内新聞)。当院の情報発信の一例来院中断への取り組み患者さんへの情報発信=スタッフのレベルアップ

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