Ortho‐Perio/Perio-Orthoは,昨今の歯科界におけるトピックの1つとなっています.今回は,アライナー矯正の第一人者である尾島賢治先生と日本を代表するペリオドンティストである岩野義弘先生に,アライナー矯正と歯周治療がもたらすシナジーについて,そしてより良い治療のゴールをめざすためにそれぞれの専門家がどのように協力していくかを将来の展望も含めてお話いただきました.(編集部)尾島:岩野先生は歯周治療がご専門でいらっしゃいますが,ご自身の患者さんで,歯周治療後に「この歯だけ動かせたら!」と思われることはありますか?岩野義弘先生と語る アライナー×ペリオの近未来44岩野:もちろんあります.たとえば,上顎前歯のフレアアウトや,隣在歯の欠損にともなう近心傾斜など,とくに歯周病にともなって病的移動を起こした歯は,力学的にも審美的にも,適正な位置に移動したいですね.尾島:なるほど.「ここをちょっと動かせたら,さらに良い治療結果が得られるのに」ということは,やはりありますよね.私は,歯周病の患者さんへの矯正歯科治療には,アライナー矯正が適していると考えているのですが,そもそも歯周病患者さんへの矯正歯科治療については,岩野先生はどんなイメージをもたれているでしょうか? よく言われるように,やはり「難しい」と思われていますか?岩野:そうですね.私は,矯正歯科治療は専門の先生にお願いしており,自日本アライナー矯正歯科研究会代表東京都開業岩野歯科クリニック分自身では行っていないのですが,難しいというイメージがあります.尾島:どういったところがでしょうか?岩野:いろいろとあるとは思いますが,炎症のコントロールができていない状態で矯正歯科治療を行ってしまいますと歯周組織の破壊が一気に進行する場合がありますので,一番はその点でしょうか.また,歯周病はSilent Diseaseといわれるように,患者さん自身も歯周病に罹患していることに気づいていない場合があります. 私が日本大学歯学部歯周病学講座に在籍していたときに担当した患者さんに,全顎矯正を受けた若い女性の患者さんがいらっしゃいました.その患者さんは,紹介でいらした方で,受けたのはアライナーではなくブラケット矯歯周治療と矯正歯科治療がもたらす相乗効果尾島賢治氏岩野義弘氏アライナー×ペリオの近未来岩野義弘先生と語る
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