デンタルアドクロニクル 2024
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54 筆者は「X-ガイドシステムを用いたインプラント治療」を演題として講演を行った。 まず、当院におけるX-ガイドを用いた教育に関するシステムの概要を述べ、術前の治療計画から手術中に至るまで、モニターを通じて携わるスタッフの共通認識が可能となること、研修医や卒直後の先生方の教育に必要な解剖学的な知識を与え、実際のライブオペ通じて、X-ガイドが院内での共通言語になっていることをお話しした。 その後、X-ガイドを用いたAll-on-4の抜歯即時埋入即時荷重の全顎症例では、骨にトラッカーアームを直接固定せずに、フラップレスにて上下顎を1時間以内の施術時間で行ったことを供覧した。術後の患者評価では、ヨシダ社のCT「トロフィーパン スープリーム」を用いて顔面の3D画像と顎骨を合わせた画像により、さまざまな方向から顔面領域と骨の状態が観察できることを紹介した。 最後に、フラップレスによる低侵襲な手術によって、高齢者でも顔面の表情筋や咽頭内の改善が図られ、全顎治療後の口腔周囲筋のトレーニングによるオーラルフレイルの防止に取り組んでいることを発表した。 今回の日本国際歯科大会のJAIDセッションでお話しする機会を得られたことを、JAIDの先生方および関係者の方々に感謝申し上げます。 筆者は「解剖学的観点からみたインプラントと矯正治具TADsのポジションについて」を演題として講演する機会をいただいた。 JAIDメンバーではAl-Farajeらの『アナトミー』の第2版につづき、2023年8月に『アナトミー2』を翻訳・発刊した。インプラント埋入手術や矯正治療に用いるTADsの植立に際し、考慮する近傍の解剖構造について実態写真、詳細なイラストが収載されており、知識の確認・アップデートを図るうえでも有意義な出版活動となったことを報告した。 その後、「ダイナミックナビゲーションシステムを使用しリアルタイムに解剖構造を確認した症例」、「多数歯欠損補綴の歯槽骨外インプラントの埋入計画と術中説明」、「サイナスリフト開窓時の隔壁や脈管の注意点」、「TADs植立時の解剖構造を踏まえた注意点」について解説した。具体的な症例提示とともに術式とナビゲーションディスプレイの三次元的な利用方法を供覧し、より安全な手術を支援する一つのクリニカルヒントを提示した。インプラント補綴においても当会で翻訳したTodd R. Schoenbaumの『インプラント補綴マニュアル』を紹介し、アナログとデジタルどちらにも必要な補綴修復パーツの使用例を供覧した。 これからのデジタル技術の支援によって、より安全にそして効果的な術式を確保できるようにJAIDでは解剖から臨床まで縦断的に研鑽を積み重ねている。JAID特集  脇田雅文JAID顧問神奈川県開業:わきた歯科医院今井 遊JAID会員福岡県開業:友デンタルクリニック第9回日本国際歯科大会 JAIDセッション Part 2―解剖を理解したX-ガイドからインプラント補綴まで―

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