デンタルアドクロニクル 2024
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売り上げ金額高←売り上げ金額高←成熟期成長期Open日誕生期損益分岐点→準備期間ティッピングポイント衰退期利益借金完済→時間経過店舗改装費積み立て日々の営業経費→準備期間誕生期成熟期成長期Open日損益分岐点ティッピングポイント利益借金完済→時間経過投資店舗改装費積み立て日々の営業経費++図1 経営曲線。58図2 投資をした場合の経営曲線。  筆者は故・保母須弥也先生から学術のみでなくさまざまなことを学んだ。学術以外では「歯科医師の一生」という話が非常に興味深く、また、楽しいものであった。「歯科医師と患者さんは、歯科医師が齢をとればとるほど、患者さんも齢をとる。そして患者さんがひとりお亡くなりになり、ふたりお亡くなりになり、患者さんが徐々に少なくなり、最後は歯科医師自身が死ぬんだよ!」という内容であった。 そこで、1つめの私の経営術は「ひとりでは診療しない」ことである。つまり、つねに若い歯科医師がいれば、若い患者もつねに訪れるということだ。最初の1年目はひとりであったが、2年目からは複数の歯科医師での診療とした。今では研修医、非常勤を含めれば23人になる。一部の巨大な医療法人からすると少ないが、少々やりすぎかもしれない。 2つめは、一般的な企業の成長曲線から学んだものである。図1のように、誕生期(歯科では開業時)、成長期、成熟期、この後に少し平坦なプラトー期があり、その後は衰退期に至る。図2は、プラトー期の後、衰退期になりかけるところで「投資」するものである。投資は、新しい機器を入れることももちろんだが、分院展開することも投資に含まれる。現在、筆者は銀座、町田、海老名に3医院、合計5医院をスタッフのおかげで経営している。患者に対してもよりよい、またより新しい機器で治療を行うことは患者に対するサービスにもなり、それそのものがおもてなしであると考える。 私のモットーは“よい行い”である。よい行いをするには、機器や分院といったハードだけでは不十分でソフトが必要となる。そこで、3つめの経営術として、ソフトにあたる「スタディー」がある。歯科医学は刻一刻と新しくなる。最先端のスタディーをしていれば患者にもっともよい医療を与えることができる。また、いろいろな専門医を取得すること、あるいはいろんな役職をすることは患者に対するアピールにもなり、経営に対する鎧のような効果が出るものだと考える。ちなみに筆者の名刺はジャバラ形式で合計8枚の名刺となっている。若い先生方、鎧をまとうようにスタディーに励んでいただきたい。JAID特集  鈴木仙一JAID顧問神奈川県開業:医療法人社団ライオン会JAID会員が教える“私の経営術”継続した成長のための3つの経営術

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